大岩風呂
 
大岩風呂は甲子温泉大黒屋の代名詞のような浴場。ただし、そこへたどり着くには100段以上の階段を下りる必要があります。それというのも浴舎は阿武隈川源流域の谷底にあるからです。段数は多いですが、急ではないのでわりと楽に上り下りできます。
階段を下りると橋の向こうに浴舎が見えてきました。渓流と深い緑・・・秋には紅葉が見事なことでしょう。
さあ、到着しました。左が混浴の大岩風呂、右が女性専用の櫻の湯です。

櫻の湯は檜造りの湯舟だそうです。宿泊の場合、5時〜7時と19時〜21時の間、大岩風呂は女性専用タイムになり、その間櫻の湯が男性専用となります。
これが150年の歴史を持つ大岩風呂。縦5m、横15mの巨大な湯舟に無加水・無加温、源泉100%の湯が贅沢にかけ流されています。
脱衣所は昔ながらの浴室との一体型です。衝立はありますが、女性には入り辛いかもしれません。
一か所、岩盤がむき出しになっていて、鳥居の下から湯が湧き出しています。

今でこそ湯をポンプアップしてどこにでも浴場を造ることができますが、昔は川べりの湧出口にこうして湯舟を造ったわけです。そう考えると下ってきた100数段の階段もありがたく感じます。
湯舟の深さは120cmもありますが、縁の部分が座れるようになっているので大丈夫。中央部に「子宝石」という大石があって、その石に触ると子宝に恵まれるとか。腰掛けるにもちょうどいい高さと大きさです。
高い天井に太い梁、なんだか道場のよう。日本秘湯を守る会の本『日本の秘湯』に、「どういうわけか、うちの湯は頭痛と肩こりによく効くんです。むちうちの人が一週間滞在しているとなおるし、口を聞かないノイローゼの若者が、三日もたつとふざけ出すんです」という宿のご主人の言葉が紹介されていましたが、ここで修行を積めば様々なご利益がありそうな・・・そんなありがたい雰囲気の浴場です。
窓の外には源泉プールが見えます。午前10時半過ぎ、絶品の大岩風呂は貸切り状態で大満足。