藤三旅館本館は、昭和16年に完成した総ケヤキ造り3階建ての堂々たる佇まい。『日本百名湯』(松田忠徳著・日経ムック)によると、戦前までは共同浴場「白猿の湯」を中心に4軒の宿があったが、昭和15年の大火を機に4軒が共同出資して、藤三旅館1軒に統合されたそうです。
小説家・田宮虎彦が1ヶ月あまり逗留して『銀心中』を書き上げたのは3階の203号室。不勉強な私は『足摺岬』しか読んだことがありませんが・・・。 |
 |
 |
破風造りの重厚な玄関を入ると赤い絨毯が敷き詰められた洋風のロビーがあります。その隣には畳敷きの談話室があって、「日本秘湯を守る会」の提灯が掛かっています。 |
 |
 |
 |
|
|
|
 |
東北の古い温泉宿によく見られるように、鉛温泉は旅館部と自炊部に分かれています。
左の写真が自炊部の入口、右の写真が自炊部の通路です。 |
 |
|
|
 |
|
今回予約したのは鉄筋3階建ての別館にある8畳+広縁の部屋で、シャワートイレも完備されています。 |
|
 |
 |
部屋の窓の外は涼しげな豊沢川の流れ。1階でもあり、川音がさぞや大きいのではと思いましたが、冬の寒さ対策で二重窓になっているのでほとんど聞こえず、ぐっすり眠れました。 |
 |
|
|
|
|
鉛温泉藤三旅館には、混浴(女性専用時間あり)の「白猿の湯」、男女別に内湯と露天風呂がある「桂の湯」、男女別内湯「河鹿の湯」、男女時間別使用の「白糸の湯」、貸し切り使用もできる「銀(しろがね)の湯」の計9つの湯舟があります。
「是非全部お入りになってみてください」との宿の人の勧めもあり、全浴場に入ってみると、それぞれ泉質も趣も違って楽しむことができました。 |
|
 |
下の各画像をクリックしてご覧ください(「白糸の湯」は他の入浴者がいたため、撮影は遠慮しました)。 |
|
宮沢賢治は館主の遠縁にあたりよく宿を訪れたそうで、童話『なめとこ山の熊』の中に「とにかくなめとこ山の熊の胆は名高いものになっている。腹の痛いのにも利けば傷もなおる。鉛の湯の入口になめとこ山の熊の胆ありという昔からの看板もかかっている」と鉛温泉のことが触れられています。 |
|
|
食 事 |
 |
|
夕食は部屋で。基本的には一回出しですが、あとから蟹と茶美豚(チャーミーポーク)が出ました。
宿泊料金からして前沢牛を期待したのですがそちらはグレードアッププランのようでした。でもどの料理も美味しかったです。
仲居さんの説明はありましたが、やはり献立表があるとうれしいです。 |
|
|
|
|
 |
朝食も部屋でいただきます。夕食は量が多く、お腹がパンパンになってしまいましたが(せっかく出されたものを残すのが嫌いなもので)、朝食はほどよい分量。ご飯がとても美味しかったです。 |
|
|
|
お盆料金だったこともありますが、トイレ付8畳で19,500円は高いなというのが正直な感想(平日だと15,000円)。その値段なら料理がもっと良い宿がいくらでもあります。フロントと配膳係の連絡不徹底から、夕食でご飯を頼んでから30分待たされたこと、夜に仲居さん自らが朝食時間の念押しをしたにもかかわらず、何事もなかったかのように30分遅れたこと(布団を上げて待っていたのに。朝の30分は貴重!)がマイナスポイント。それともうひとつ。「白糸の湯」や「白猿の湯」など男女入れ替わりの浴場の時間帯が複雑すぎて覚えきれません。部屋に案内のプリントでも置いてあると親切です(館内放送はありましたが、よく聞こえませんでした)。
ともあれ、9個ある湯舟のすべてが加水、加温なしの源泉かけ流し。鉛温泉藤三旅館は、温泉を満喫できる宿でした。 |
 |
|
【また行ってみたい度】 →こちらをお読みください |
やなぎ夫: |
★★★☆☆ |
やなぎ妻: |
★★☆☆☆ |
|
2009年8月17日 |
|