強羅温泉 〜強羅環翠楼〜
ごうらおんせん ごうらかんすいろう |
神奈川県足柄郡箱根町強羅1300 |
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強羅温泉は箱根第二の規模を誇る温泉保養地。
「ゴーラ」は梵語で「石の地獄」という意味だそうで、岩が転がる荒れ地だったが、明治時代末期に温泉付き分譲地として売り出されると多くの政財界人が別荘を建てたのが始まりだ。
強羅環翠楼は旧三菱財閥岩崎家の別荘を譲り受けて昭和24年に開業した客室数14(本館10室・離れ4室)の純和風旅館だ。 |
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【強羅環翠楼 宿泊レポート】 *温泉情報はこのページのおわりにあります。 |
控えめな看板を頼りに箱根登山鉄道強羅駅前の大きな通りから細い脇道を入って行きます。到着した駐車場は旅館のそれらしくはなく、宿の外観も旅館らしくない。とは言っても立派な構え。それもそのはず、上で触れたようにここは旧三菱財閥・岩崎家の別荘でした。 |
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三菱財閥の創始者・岩崎弥太郎の三男、岩崎康弥氏が大正4年に土地を購入し、大正10年頃に別荘を構えました。それを戦後、昭和24年に小田原の大網元で塔ノ沢環翠楼を経営する鈴木二六氏が譲り受け、旅館として開業しました。 |
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玄関から畳敷きの長い廊下が終わる所までが別荘当時の建物。ガラス戸にも歴史を感じます。 |
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浴場の場所や「このミカンはご自由にお持ちください」といった説明を聞きながら入り組んだ館内を進みます。 |
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本館から外に出て屋根のある通路をなおも進むとようやく今回の部屋、「三亭」という離れに到着しました。 |
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部屋に入るとお茶とお菓子が出されます。
箱根の銘菓「湯もち」。白玉粉で作った柔らかい餅に羊羹と柚子の香りを練り込んだ美味しい和菓子です。 |
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間取りは9畳和室に2畳次の間と板の間。障子を開けるとガラス窓の向こうに森のような庭園が広がっています。 |
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絨毯敷きの板の間の窓からは露天風呂の浴舎が見えます。この離れは本館から一番遠くにあるのですが、露天風呂には一番近いのがうれしい。右手奥には源泉井戸から湯けむりが上がっています。 |
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床の間脇の襖を開けると簡素な洗面所があります。その右手にトイレ(ウオッシュレット)、左手には脱衣所と浴室があります。 |
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これが部屋風呂。源泉かけ流しで、湯舟からやや熱めの湯が24時間あふれています。湯は敷地内から湧く2つの源泉をブレンドしたものだそうです。 |
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部屋の玄関の右手奥には水場があります。まさに昭和の台所。この水場はお世話をしてくれる仲居さんがお茶や配膳の準備・片付けで使用します。 |
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板の間にカーテンがないのが気になっていたのですが、夕食後、露天風呂に行っている間にふとん敷きのと同時に雨戸が閉められていました。こんなところにもこの宿の拘りのようなものを感じます。
強羅環翠楼を紹介した週刊誌が3冊置いてありました。宇崎竜童・阿木燿子夫妻もここを定宿にしているそうです。 |
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この宿で変わっていることがもうひとつ。部屋の鍵は内側からは掛けられるのですが、外鍵はありません。ですから外出する時も部屋の鍵は掛かっていません(貴重品は必ず金庫に入れます)。客層に対する自負と信頼を感じるとともに、配膳やふとんの上げ下げ等の都合があるのでしょう。二人で外風呂に行っても上がる時間を気にしなくていいので便利ですが、気になる人も多いのではないかと思います。 |
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昭和30年(1955)に昭和天皇・皇后両陛下が宿泊されています。右の写真はお泊りになった離れ「錦華亭八集庵」。 |
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上は館内に飾ってあった写真で、第一回日米貿易経済合同委員会(昭和36年)の昼食会場になった時のもの。日本側は池田隼人総理、佐藤栄作通産大臣、大平正芳官房長官、米国側はラスク国務長官、ライシャワー駐日大使という顔ぶれでした。 |
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強羅環翠楼には部屋風呂の他に露天風呂(男女各1)と2つの内湯(男女交替制)があります。 |
下の各画像をクリックしてご覧ください ↓ |
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強羅が別荘地として売り出された当初は早雲山や大涌谷からの引き湯でしたが、岩崎家の別荘を譲り受けた鈴木二六氏が昭和27年に敷地内で温泉を掘り当てたそうです。強羅での温泉第一号でした。 |
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食事は夕食、朝食とも部屋で出されます。
強羅環翠楼の料理は数ある箱根の宿の中でも美味しいと評判。
こちらをクリックしてください→ 強羅環翠楼の食事 |
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箱根の宿を探していたら、たまたま離れが1室だけ空いていた強羅環翠楼。一人3万円には迷いましたが、こんな機会もなかなかないと思い、宿泊しました。
泊まってみての感想ですが、「また行ってみたい度」は下のとおり。ご紹介したように離れの部屋は至って簡素。それはいいのですが、部屋で読めるような本が何冊か置いてあるとうれしかったです。それと朝食も部屋出しなのでのんびり朝寝できない。朝食後も仲居さんがお手伝いさんの如く部屋の水場で後片付けをしているので(お手伝いさんに慣れていない我々は)何となく落ち着かない。 |
チェックアウトも3万円の宿としては早い10時なのでバタバタと過ぎてしまいました。もっともふとんが上げられてしまったので二度寝もできませんが・・・。そうそう、通路を歩く時の、あの便所の履物のようなゴムサンダルは興ざめです。
でも、一品一品が美味でまた味わってみたいと思う見事な食事だったし、ヌルスベした自家源泉かけ流しの露天風呂も楽しめました。部屋風呂付き離れ、そして箱根という場所を考えれば、十分満足できる宿といえるでしょう。 |
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【また行ってみたい度】 →こちらをお読みください |
やなぎ夫: |
★★★☆☆ |
やなぎ妻: |
★★★☆☆ |
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2014年3月1日 |
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