田山花袋著『温泉めぐり』には鎌先温泉について次のような著述があります。 |
鎌先は白石から入って行った。山と山との間の路を折れ曲がって渓に添って入って行くようなところで、路はかなりにわるい。車も通じない。しかし、湯は豊富で、山の中で、いかにも気の澄むようなところである。 |
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約1世紀経った今、東北自動車道白石ICから車で15分程で到着できる鎌先温泉は仙台からも近く、交通至便といってもよい温泉地ですが、小さな温泉街に一歩足を踏み入れると故郷に帰ったような懐かしい気持ちになりました。 |
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創業550年という「一條旅館」、江戸時代創業の「木村屋旅館」「最上屋旅館」「すゞきや旅館」、そしてやや離れた所に「みちのく庵」。桃源郷のような谷あいの平地に5軒の宿が寄り添うように建っています。 |
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一條旅館以外は日帰り入浴を受け付けており、どこにしようか迷いましたが、昔ながらの美しい木造建築に惹かれて最上屋で立ち寄り湯することにしました。隣の木村屋は日帰り入浴にもかなり力を入れているようで(風呂のバリエーションも豊富なのですが)、入浴客が引っ切り無しに出入りしていました。 |
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浴場へは玄関から一旦2階へ上がり、廊下を通って再び1階へと下りた先にあります。どうやら自炊棟のようで、浴場の隣には自炊施設らしき部屋があります。 |
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浴場は男女入れ替え制の「三宝風呂」と「東光風呂」の他に家族風呂があります。訪れた時は「東光風呂」が男湯になっていました。
脱衣所は小さいながらも意匠を凝らした造りでなかなかいい雰囲気です。 |
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「東光風呂」は3人も入ればいっぱいというほどの小ぢんまりした湯舟。もう一方の「三宝風呂」はこの倍の広さがあるようです。 |
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浴場内は総タイル張り。宿の構えから渋い木造りの湯舟を想像していたのですが・・・。
しかしながら、最初から最後まで他に入浴者はなく貸し切り状態。何の不満もなく「My温泉」を楽しむことができました。 |
泉温が36℃と低いため加温はしていますが、無加水の湯がかけ流されています。
鎌先の4軒の宿はそれぞれ自家源泉を持っており、最上屋の湯は薄っすら黄褐色の濁り湯。鉄分が多いようで湯口の周りは赤錆色になっています。口に含んでみると鉄くさい食塩水といった味です。
よく温まる湯で、湯上りは体がぽっかぽか、なかなか汗が引きませんでした。他の宿の風呂に入っていないので比較はできませんが、最上屋に立ち寄り湯して大正解と思えるいい湯でした。 |
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【また行ってみたい度】 →こちらをお読みください |
やなぎ夫: |
★★★☆☆ |
やなぎ妻: |
未入湯 |
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2008年4月20日 |
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