黒川温泉にひとりごと

黒川温泉は今や九州を代表する温泉のひとつ。全国温泉人気ランキング
でも常に上位にくる温泉地となっています。当然我々も期待に胸膨らませ
て遥々訪れました。でもなんとなく中途半端な気持ちのままで終わってしま
いました。もちろん「ああ、やっぱり素晴らしい温泉だった」と感激して帰る
人も多いのでしょうが、私たちが「これはちょっとなあ・・」と感じたことをいく
つか書きたいと思います。

(その1)
入湯手形が利用できるのは午前8時半から午後9時まで。おかげで朝食
夕食後に泊まった宿の風呂を楽しみたいと思っても外から来た湯めぐり客
で込み合ってのんびりゆったりとはいきませんでした。宿泊客にはちょっと
厳しいシステムだなと感じました。午前9時から午後5時くらいでいいので
は・・・。入湯手形が売りだけに難しいところです。
(その2)
宿の大浴場でひと風呂浴びていると親子連れが入ってきました。小学生
くらいの男の子が父親に言いました。「黒川温泉って、おみやげ屋さんが
ないねえ。」子供は正直だなあと思いました。温泉のはしごの合間に土産
物屋をぶらつくのも楽しみのひとつ。雰囲気ぶち壊しの騒々しい温泉街も
困りものですが、黒川温泉、なんとなく物足りないなあ・・・。
(その3)
朝7時。共同浴場に行こうとタオル片手に宿のロビーを通ったところ、仲居
さんが2人、ストーブにあたっていました。「おはようございます」の言葉もな
く、なんとなく気まずい雰囲気で下駄を履きかけると「内湯めぐりですか?」
の声。入湯手形を使えるのは8時半からですよと教えてくれようとしている
のだなと思い、「いえいえ、地蔵湯と穴湯に行こうと思って。こちらの共同
浴場は無料なんですか?」と言うと、「タダのわけないでしょ。150円です」と
いう答えが返ってきました。この土地独特の言い方で別に悪気があるわけ
ではないのかもしれませんが、いい気持ちはしませんでした。
(その4)
気を取り直して共同浴場の地蔵湯に行きました。風情のある建物とは似つ
かない遊園地の入場口のような回転バーがあります。壁に100円硬貨の投
入口があるので100円玉を入れたところ、回転バーの向こう側の引き戸が
一瞬開いたかと思うと次の瞬間にはバシンと閉じました。まばたきする間も
ないとはまさにこのことで、予期せぬ出来事にしばし呆然。先ずは回転バー
を押して中に入り、それから100円を投入しなければいけないのでした。仕
方なくもう一度やり直し。今度はうまく通過できて入っていくと箱が置いてあ
り「入浴する前に150円入れてください」とある。浴室壁面の入浴心得にも
「入浴できぬ者」として「150円払わない者」「刺青の者」(文面はこのとおり
ではなかったかもしれませんが)とでかでかと書いてあります。先程100円
飲み込まれてしまったので50円だけ入れました。
私としては共同湯は温泉地の顔だと思っています。(その1)から(その3)は
どうでもよいと言えばどうでもよいことですが、あの共同浴場はどうも・・・。
黒川温泉、ちょっと大らかさに欠けるのではないでしょうか。いっそのこと地
元の人以外入浴禁止にした方がまだましだと思うのですが。

以上、勝手なことを書きましたが、1軒の宿の「一人勝ち」ではなく、地域全
体が勝ち組になろうとしている黒川温泉の努力は素晴らしいと思います。
全宿が環境に優しい「よもぎ石鹸」を使っているし、露天風呂めぐりの接客
も朝から晩まで大変なことです。
いつかまた訪れたとき、「黒川温泉は本当に素晴らしい。何度でも来たいな
あ」という気持ちを持てたらいいなと思います。