ばらと温泉と日本酒ラベル/温泉の巻 
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源泉かけ流し

 今(2005年2月)、書店の温泉コーナーの本には「源泉かけ流し」の文字が躍っています(ま
さにお祭騒ぎで「踊っている」と表記した方がいいかも)。
 そんな折、掲示板にSさんから温泉関係のテレビ番組の情報を頂戴しました。Sさんの素朴
な疑問に温泉通のGさんも加わってくださり、なかなか面白いやりとりになりました。この「温泉
談義」のコーナーを作ろうと思ったのも、せっかくの書き込みが源泉かけ流しの如く、掲示板の
保存枠から溢れて消えてしまうのを残念に思ったからです。お二人のご了解を得て、一部修正
を加えて転載します。


その前に「源泉かけ流し」と「循環」についておさらいしておきましょう。
        参考図書:石川理夫著『温泉法則』(集英社新書)・鵜飼克郎著『ウソの温泉 ホントの温泉』(小学館)
源泉かけ流しとは、「放流式」とも呼ばれ、源泉を絶えず注ぎ込んで湯舟から湯を溢れさせて
いる状態。常に新鮮な源泉が供給されるため、湯舟のお湯はいつも清潔な状態で、温泉の療
養効果や持ち味が保たれる。伝統的かつ理想的な形といえる。
循環湯とは浴槽内の湯をろ過装置に送り、汚れを取り除いた後に殺菌装置で塩素等の薬液
を投入、加温して再び浴槽内に送り込む方式。湯口から注がれるお湯は、新鮮な源泉だけの
ものから循環湯に一定間隔で源泉を足したものまでさまざまである。循環は浴槽の底面や側
面で行われるが、最近は湯舟から溢れ出たお湯を回収する「オーバーフロー還水方式」も増
え、見ためではかけ流しと区別つかないこともある。ただし、循環湯がかけ流しに完全に劣る
かというとそうとも言い切れず、源泉かけ流しといっても湯量が少なすぎると湯舟のお湯が十
分に入れ替わらず、かえって不衛生になってしまう。


それでは2005年2月上旬に当HPの掲示板で交わされたSさん、Gさん、やなぎの温泉談義を
お読みください。

Sさん:こんにちは。
    とある番組で「温泉遺産」というを拝見し、
    とてもいい情報だったんでφ(.. )メモメモしました。
    ぜひ、やなぎ様ご夫婦にもおそわけです。
    でも、ご存知ですよね。温泉Gメンの取材です。
    @かけながし温泉であること、たくさん湯があふれていることが条件
    A残留塩素がないこと
    B排水溝以外の穴がないこと
    C温泉の温度とは
     温泉で表示されている温度=源泉温度
     76.5度以上
    D公共浴場が多い温泉ほど安心!

    ※「天然温泉100%」という言葉には要注意だそうです。
    本物の温泉は全国で6割らしいですよ。
    いかがでしょうか。
やなぎどこの番組だったのでしょうか。温泉番組はチェックしているつもりだったのですが、
    見落としてしまいました。関西だけの番組だったのかなあ・・・。

    これは恐らく温泉教授の松田忠徳さんのホンモノ温泉の見分け方あたりを参考にして
    いるのだと思いますが、Cの源泉温度76.5度以上というのは何が根拠なのでしょうね
    え・・・そうすると源泉温度60度前後の草津温泉はどうなるんでしょう・・・ちょっと解せ
    ません。
    松田氏によると「全国の温泉宿の7割は循環風呂で、源泉100%掛け流しは1割程度」
    とのこと。「本物の温泉は全国で6割」の「本物の温泉」というのは例えば地中1000m
    も掘って無理やり出したものは「温泉」に入れないとかそういう意味かなあ・・・などと
    温泉フリークとしてはいろいろ気になってしまいました(笑)詳しいことがわかれば教え
    てください。
Gさん思うこと
    @たくさんの湯は流せない(温度の高い湯は流したら熱くて入れない)
     温度の高い湯の100パーセントは溜めるのに時間がかかるので大変
     「姥の湯」は浴槽小さいが掃除後4時間位は入れなかった
    A納得
    B排水溝の穴のほかに掛け流しは上部が熱くなるので、
     下から湯を抜いて全体をおんなじ温度にする方法もある
     「草津、日新館」、「甲子温泉、大黒屋」など
    C大塚温泉はどうなるの
    D「城崎」、「松山」怪しい塩素泉
やなぎ:Gさんの書き込みを解説させていただきますね。

    Cの大塚温泉というのは源泉温度は34℃ですがめったにお目にかかれないくらいすご
    い源泉かけ流し。湯舟から溢れ出るお湯で洗い場は洪水状態です。泉温は低くても名
    湯の誉れ高い温泉て結構あるんです。大塚温泉については
    http://yanagy.jp/onsen/gunma/otsuka.html
    を見てください。

    で、@に戻りますが、例えば仮に大塚温泉の泉温が50〜60℃あったとして、湯舟にあん
    なに大量に注ぎ込んだら熱くて入れたものではありません。溢れ出る湯量は必ずしも源
    泉かけ流しの判断材料にはならないようです。

    Bの「下から湯を抜いて全体をおんなじ温度にする方法」というのは私も初めて知りまし
    た。勉強になりました。

    Dは共同湯がたくさんある草津や野沢を思い浮かべると「共同浴場が多い温泉=名湯」
    は一見成り立ちます。でも、例えば城崎温泉は7つもある外湯めぐりが売りの温泉地な
    のですが、そのどれもが塩素臭くてちょっと残念でした。湯量がさほど豊富でなく、町の
    集中管理する湯を循環しているのでしょう。

    ということですよね、Gさん。
    その番組を見ていないので断定的なことは言えないのですが、にわか仕込みの人が番
    組制作を担当したのかな?という感じです。白骨温泉以来の偽温泉騒動で、本屋にも
    「源泉掛け流し」あやかり本が溢れていますが、ちょっと行き過ぎだなとも思います。

    Sさんの情報がこんな形で盛り上がってしまいましたが、どうか気を悪くなさらないでくだ
    さいね。温泉オヤジ(とりあえず私とGさん
(Gさんすみません))は結構うるさいのです(笑)
大塚温泉

湯口には飛散防
止のビニールが。

野沢温泉・大湯

13ある外湯の一つ
で野沢温泉のシン
ボル的存在。
Sさんぜんぜん、気にしてませんよ。
    むしろありがたいことです。
    みんなよくご存知で。
    そのとある番組は万座温泉を紹介してました。
    そのレポをなさったのは野口氏という方でした。
    私はどの方も初耳です。
    やなぎさまとGさんの名前は承知していますが(笑)
    その番組を見ての温泉遺産の効果はわかりませんが、
    誤解する人もいるもかもですね。
やなぎSさん、どうもです。
    野口悦男さんはTVチャンピオンの温泉通選手権で優勝し、温泉ジャーナリストとして活
    躍している人です。旅行読売主催の「温泉遺産」選定でも中心となったんじゃなかった
    かな?Gさんは野口さんに勝るとも劣らない温泉通ですが、私なんかは足元にも及びま
    せん。その野口さんともあろう人がちょっと誤解を招くような番組になってしまったようで
    すね。
Gさん思うに、TV局の都合で編集されたような気がします。
    都合のいいように放送し、細かいことは「カット」したような
    野口さんも不本意では
やなぎGさんのおっしゃるとおりだと思います。TV局は情報よりもウケ重視ですから。
Sさん野口氏ってそんな有名人なんですね。
    なーるほど^^
    そうかも知れませんね。
    視聴者にとっては、すんごく解りやすいレポでしたが。
    そういや、去年どこの温泉だったかな?
    温泉のうち湯に入ったんですが、
    それがものすごく熱くて、
    「ホースがありますので、水でうすめてください」って
    書いてありました。
    ホント、チンチンの熱さでした。
    それこそ、本物の温泉だったのでしょうか?
    う〜〜ん、どこか忘れてしまいました。

    こうなると、やはり草津温泉は行くべしですね。
やなぎどこでしょうねえ。水道水や井戸水を目に見える形で源泉掛け流しの湯船に注いで
    温度を冷ます温泉にはよく入りますが、別にいやな感じはしないですよね。ああいうの
    まで「加水だから本当の源泉掛け流しではない」と非難するのは行き過ぎです。
    源泉の温度が高い場合、それを水で薄めずにいかに温度を下げるかで苦労している
    んですよね。草津の湯畑の樋は湯温を自然に冷ます工夫です。草津、是非行ってみ
    てください。
那須・北温泉

泉温が高いため
湧き水を加えている。

草津温泉・湯畑

7本の樋は湯の
花採取と同時に
湯温を下げる役
割も果たす。
Gさん酔っ払いのたわごと、源泉掛け流し、
    @温度が高い、又は浴槽が大きいと掃除の後、溜まるまで時間がかかる
     夜だと朝まで、朝だと3時頃まで(浴槽の広さと温度で変わるが)
     朝掃除で日帰り入浴のだめなとこも結構あるなーーー
    A浴槽がいっぱいあると掃除を順番にするので、後は一部でしばらくだめ(姥の湯など)
    B朝一番などは(入る間があくと)熱いので、かき回す道具等があり
     鳴子の旅館で掃除後は加水しますの断りがあったなーー
    C底から温い湯を抜く(ぐっとあいであ)
    D底から湯が湧く(適温なら最高かも、蔵王の河原湯は熱いので加水)
     温度を下げるので大変だーーー(湯量調整、熱交換、加水等)
    E加熱掛け流しもあるな(伊香保等)
    F温いので、上がり湯があるところも結構ある
     (大塚、湯岐、微温湯、畑毛、志保の湯、貝掛、下部等)
    G冷たい源泉に入るためサウナをつけた
     新木鉱泉(厳密には温泉ではないのかも、でもつるつるだ)
    以上よっぱらいのいのたわごとでした。ごめんなんしょ。
下部温泉・大市館

湯舟の底から30℃の源泉が湧く。
奥に加熱湯の浴槽がある。
Sさんさすが、温泉通のおっしゃることは違いますね。
    な〜るほどです。
    温泉のスタイルが違うんですね。
やなぎかけ流しの風呂を持つ宿に立ち寄り湯に行くことが結構あるのですが、宿泊客が
    チェックアウトした直後の時間帯を狙っていくと、清掃中で断られることも多いです。
    せっかく来たのにと残念に思う反面、「風呂を大切にしている宿なんだな」と感心も
    します。そういう宿にはぜひ泊まってみたいと思うものです。
    Gさんが仰るようにひと口に「源泉かけ流し」と言ってもいろいろなスタイルがあり、そ
    れぞれのケアがあるんですね。


以上、Gさん・Sさん・やなぎの数日にわたるかけ流し談義でした。

終わりに、環境省のHPに興味深い資料がありましたのでご紹介します。
2004年10月8日付け環境省自然環境局による「温泉利用施設に関する調査結果」です。
詳細はこちら→http://www.env.go.jp/council/12nature/y123-01/mat05.pdf

(調査票発送数=20,081 回答施設数=12,122 回答率=62.3%) ※小数点第二位四捨五入・表加工はやなぎ
■源泉かけ流しをしている浴槽の有無
ある 52.3%
ない 36.3%
■源泉から利用施設までの供給方法
パイプ送湯 90.8%
自動車等による運搬 5.2%
浴槽近傍から湧出し、菅などによらない引湯 2.2%
浴槽底部から湧出 1.7%
■加水をしている浴槽の有無
ある 32.5%
ない 59.7%
■加水をしている理由(複数回答可)
源泉温度が高い 54.4%
湯量の不足を補う 21.0%
温泉資源の保護 8.5%
強酸又は強アルカリ泉質 2.3%
■循環ろ過装置を使用している浴槽の有無
ある 50.4%
ない 44.6%
■循環ろ過装置を使用している理由(複数回答可)
浴槽の汚れなどを除く 59.6%
供給湯量の不足を補う 16.8%
温泉資源を保護する 15.7%
■源泉を所有している施設 40.7%
以下は自己源泉を所有すると回答のあった施設について
■自己源泉の湧出状況
自然湧出泉 14.3%
掘削自噴泉 9.6%
掘削動力揚湯泉 70.4%
■自己源泉の湧出温度
25℃未満 12.7%
25〜34℃未満 17.8%
34〜42℃未満 16.1%
42℃以上 34.2%