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東莱温泉 〜虚心庁〜

とんねおんちょん ホシムチョン

韓国 釜山市東莱区温泉洞137-7
韓国最古の温泉地といわれる東莱(とんね)温泉を訪れました。最寄駅は地下鉄1号線のその名も「温泉場(オンチョンジャン)」駅。釜山一の繁華街、西面(ソミョン)から15分程です。 温泉街には大小さまざまなホテルや旅館、食堂が建ち並びます。今は釜山の都心から続く市街地と一体化していますが、1960年代までは田園地帯ののどかな温泉地だったそうです。

東莱温泉の歴史は古く、683年に新羅の宰相が東莱で沐浴したことが13世紀の文献に残っています。発見伝説としては、一頭の白鹿が山から下りて来て横になっているところから里人が湯の存在を知ったという白鹿伝説、 一羽の鶴が湯で傷を癒しているのを見て、老婆が自身の足の傷をその湯で治したという白鶴伝説があるそうです。日本の温泉にもよくある言い伝えです。

沐浴と汗蒸(ハンジュン)と呼ばれるサウナが基本の韓国では温泉は大きな発展は見せませんでした。全身入浴法は明治以降居留した日本人が持ち込んだものであり(もっとも日本でも江戸時代までは風呂といえば半身浴+蒸し風呂が主流でしたが)、戦前(韓国では「解放前」)の東莱温泉の開発も日本人によるものだったそうです。
東莱温泉を含む韓国の温泉については、竹国友康著『韓国温泉物語』(岩波書店)に詳しく書かれています。韓国の温泉のみならず、日本の入浴史も知ることができるので、温泉に興味がある方にはお薦めの一冊。このページを作る際にも参考にさせてもらいました。

今回訪れたのはどのガイドブックにも一押しと紹介されている虚心庁(ホシムチョン)。地下鉄温泉場駅から徒歩10分弱で到着です。

ショッピングセンターのような外観。いわば韓流温泉健康センターといったところです。 最近の韓国の温泉は情緒を味わうというより日本のスーパー銭湯のようなものが多いそうです。

虚心庁は1991年の誕生で、2002年にリニューアルオープンしました。この中には温泉施設の他に、スポーツジムやエステサロン、理髪店、レストランなどもあります。
玄関を入ったらエスカレーターで4階まで上り、フロントで受付をしてキーをもらいます。このキーは靴箱およびロッカーの開閉に使う他、館内での飲食物購入にも使用し、料金はすべて後払いとなります。ちなみに入浴料は8,000ウン(約800円)。日本だとこれだけの施設で800円は安い部類ですが、韓国の物価からするとやや高めかもしれません。受付では日本語が通じます。

【チェック1】
脱衣して鍵をかけ、いざ浴場へ・・・と、ここまでは日本と全く同じなのですがこの先に大きな違いがありました。日本だとタオル1枚ぶらさげて、場合によっては前をちょっと隠しがちに歩くことろですが、韓国の皆さんは老若男女誰一人タオルを持ち歩きません。大手を振って堂々と浴場へ向かいます。これは浴室内でも同じ。洗い用のナイロンタオルと湯上りタオルが出入口に備え付けてあり、必用なときに使って、使用後は使用済みバスケットに入れます。 したがって浴槽にタオルを持ち込むこともありません。頭にタオルを載せている人がいたら間違いなく日本人。

韓国人がタオルで前を隠さないことについては前述した『韓国温泉物語』に興味深い考察があります。どうやら歴史的・習慣的に培われてきた感覚の違いにあるようです。江戸時代までの日本は混浴で、入浴の際には湯ふんどしや湯巻きを身につけましたが、湯を汚す原因になる等の理由で湯具は手ぬぐいに代わり、それで前を隠した。 明治政府により混浴が禁止された後もその習慣は残ったわけです(もっとも最近ではDNA情報が薄れてきたのか、タオルで前を隠さない人も多くなりましたが)。一方、儒教の国・韓国では混浴の歴史はなく、沐浴施設や汗蒸では同性どうしなので隠す必要もなかったし、そのことで羞恥心も生じないわけです。温泉で裸になることすら抵抗を感じる欧米人のことを思い浮かべると、それは国民性や性意識の問題ではなく、歴史的・習慣的背景の違いとみるのが正しいようです。

温泉紹介の前置きがずいぶん理屈っぽくなりましたが、郷に入りては郷に従え。頭にタオルを載せて入るのはやめ、韓流でいきましょう!
浴場のドアを開けると、目の前にリゾートホテルのプールのような大浴槽。その周りにいくつもの個性的な浴槽が配されています。全体で1,300坪余りあり、「男女合わせて3,000人が同時に入浴できる、東洋で最大規模の温泉施設」と自負するだけあります。洗い場の配置等は日本と同じなので戸惑うことはありません。
※上の画像はパンフレットからお借りしました。

【チェック2】
ここで韓国での写真撮影について少しお話しておきましょう。韓国では軍事的な理由から空港や駅、高所からの眺めなどは建て前上、撮影禁止だそうです(旅行者の記念写真くらいはOKですが)。また我々日本人はよく街角の何気ない風景を撮ったりしますが、韓国人はやたらにカメラを向けられるのを好みません(でも逆の立場に立ってみればその気持ちはわかります。被写体になってもらう際には必ず声をかけましょう)。そういえば、韓国では、携帯電話は普及しているのにカメラ付携帯は全く見かけませんでした。

そんなわけで今回浴場内の撮影をどうするか迷いましたが、「人が近くにいるときにはカメラを出さない」「フラッシュは焚かない」と勝手にルールを作り(笑)、咎められたときのために「ミヤナムニダ(すみません). イルボネソ ワンヌンデ(日本から来たのですが)、クニャン キニョムサジン チッコ イッソッソヨ(ただ記念写真を撮っていました)」というハングルを暗記してて撮影断行。ただし、湯けむりでレンズは曇るし、フラッシュなしだと手ぶれもひどいので、カメラは早々にロッカーにしまい、存分に入浴を楽しみました。以下は貴重な(?)記念写真です。

虚心庁は何本か泉温の異なる自家泉源を持っていて湯量も豊富。100%天然温泉が売りで、浴槽からは湯が溢れ、塩素臭もなく、確認はしていませんが、薬草を入れたイベント湯を除きかけ流しのようです。

左は樹齢四千年の檜を用いた桧木湯。泉温は45℃とかなり高め。
こちらは露天風呂。

雨が降り出したせいもありますが、いつ覗いてもがらがら。韓国では露天風呂は日本ほど人気がないのかもしれません。
【チェック3】
韓国人の入浴はアカスリが主で、温泉自体にはさっと入ってさっと上がると聞いていました。でも実際にはそんなことはありませんでした。皆さん、のんびり入浴を楽しんでいます。打たせ湯に肩や腰を当てている人、砂利が敷かれた歩行湯を行き来する人、テーブル付の半身浴専用浴槽で読書をしている人もいました。

しかし日本と違うところもあります。先に書いたようにタオルを持ち歩きません。だから大浴場脇の寝椅子で休んでいるときも堂々と。それからこれは女性浴場でのことですが、浴槽の中でジャバジャバ跳躍する人が結構いたそうです。独特な入浴運動なのでしょう。

下のデータにも記載しましたが、虚心庁の営業時間は朝5時半から夜9時まで。韓国では朝風呂に入る人が多いそうです。

露天湯、洞窟湯、瀑布湯、塩湯、トリカゴ湯、桧木湯、長寿湯、黄土湯、高温サウナ、低音サウナ、ミストサウナ(高麗人参のにおいプンプン)など全部で約40種類の浴槽、サウナがある他、飲泉もでき、名前のとおり、俗世を忘れて虚心になれる温泉施設です。

無色透明・無臭なので、入っているときには特徴を感じない湯でしたが、入浴後肌はすべすべ、体はいつまでもぽかぽかで効能の高さを実感できました。

2005年3月11日

【泉質】アルカリ性弱食塩泉
※韓国内最大のマグネシウム含有量
【泉温】38〜56℃
【効能】消化不良、胃腸病、老化防止、神経痛、心臓麻痺の予防など
【営業時間】5:30〜21:00(年中無休)
【料金】8,000ウ
【HP】HOTEL NONG SHIM 公式サイト


2泊3日韓国・釜山見聞録


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